2020年12月 美味しいワイン会
今回の美味しいワイン会は、フランス『ブルゴーニュ地方南部地区』をテーマに開催しました。

ブルゴーニュは、ボルドーと共に、フランスの誇る大銘醸地。
ワイン造りの歴史は古く、ローマ時代にまで遡ります。
銘醸地として双璧をなすボルドーワインが「ワインの女王」と呼ばれるのに対し、ブルゴーニュは「ワインの王様」と呼ばれ、長い歴史の中ではルイ14世やナポレオンなど、多くの王侯貴族から愛されてきたワインでもあります。
ただ、今日の名声を築く基になったのは、12世紀、シトー派修道僧による葡萄畑の開墾であるといわれています。
かのロマネ・コンティやクロ・ヴージョをはじめ、銘酒は殆ど修道院が所有する畑から造られるのものでした。
ブルゴーニュと言う名称は、14~15世紀にかけてフランス王家を凌ぐほどの勢力でベルギーやオランダをも支配していたブルゴーニュ大公国だったことによるもの。
ブルゴーニュの気候は、夏は日照量が多く冬は寒さ厳しい大陸性気候はブドウ栽培に最適で、素晴らしいワインが生まれます。
この気候とこの地に適したブドウ品種と醸造法が長い時間をかけて、今日のブルゴーニュワインのスタイルを完成させました。

単一の葡萄品種でワイン造りを行われるが、変化に富む自然条件から、畑の区画ごとにミクロクリマ(微気候)が見られ、産出されるワインの多様な味わいが、ブルゴーニュワインの大きな魅力のひとつになっているのです。
産地は「6つの地区」に分けられます。

Chablis(シャブリ地区) は、 ブルゴーニュで最も北にある。北緯48度、樺太とほぼ同緯度。ブルゴーニュの首都ディジョン(Dijon)とその北西にあるパリを結ぶ線の丁度中間に位置している。辛口白ワインを代表するワイン産地。
Côte d'Or (コート・ドール=黄金の丘陵)と呼ばれるブルゴーニュきっての銘醸地は、ディションから南に約65kmに渡って絶えることなく続く葡萄畑の広がる地域で、
Côte de Nuits (コート・ド・ニュイ地区)、Côte de Beaune (コート・ド・ボーヌ地区)の2地区に分けられます。
北にあるニュイ地区は赤、その南に続くボーヌ地区は白に、世界に冠たる銘酒を産する最高級ワイン生産地。
さらに南下すると、Côte Chalonnaise (コート・シャロネー地区)とMaconnais (マコネ地区)へと続き、ワインの味わいは軽やかで、親しみやすく、コストパフォーマンスに優れた赤、白、ロゼが造られます。
続いて、ブルゴーニュの最南端に位置する産地
(ボジョレー地区)があります。
こちらの産地は、11月の第3木曜日に解禁されるボージョレーヌーボーの産地としても知られています。
産出されるワインは、ぶどう風味豊かな、初々しい軽やかな赤の産地。
ブルゴーニュワインは一部の例外を除き、単一品種でワインが造られることが特徴です。 赤は、ピノ・ノワール。白はシャルドネ。(例外はボージョレーの赤でガメイ種)。
またブルゴーニュというブランドは高級ワイン産地として世界に名を馳せているため、
実はオーガニックでぶどうを栽培していながら、それを公表していない生産者もいます。
「オーガニック」という付加価値がなくても売れるからです。
例えば、かの有名なロマネ・コンティのぶどうもオーガニック農法で栽培されています。
などなど、ブルゴーニュは「6つの地区」それぞれ個性豊かで魅力的なワインが造られています。
今回の美味しいワイン会はそんなブルゴーニュのワイン産地の中から、親しみやすくコストパフォーマンスに優れたワインを産出するCôte Chalonnaise (コート・シャロネー地区)とMaconnais (マコネ地区)をテーマに開催。
「2地区」それぞれの特徴をもう少し詳しく・・・
Côte Chalonnaise (コート・シャロネーズ地区)
この地区名「コート シャロネーズ」は、ソーヌ川に面し、かつて、ワイン商の重要な活動拠点だった河港・シャロン・シュル・ソーヌ市から取ったもの。
この河港はローマ時代から北方と地中海を結ぶ交易の中心地でした。
魅力的で静かな「古きフランス」の小さな村々が点在しています。
気候的に、南に下がるにつれて強まる暖かい地中海性気候の影響を受け、土壌の違いや、地形の違いによってピノ・ロワールやシャルドネとともに、ガメイとアリゴテの葡萄が栽培されています。

Mercurey(メルキュレイ)
この地区の中では、メルキュレィのワインが代表格で、一番有名です。 この地区で最も生産量が多く、その大半が赤。色が濃く、木苺を連想させる特有の香りが特徴(一昔前はレズィネと言ってたかと…)。
味わいは、しなやかなボディに、コート・ド・ボーヌに似た軽快さがある。
少量の辛口白も造られている。1級畑が多く、全体の栽培面積の約4分の1に相当。
「メルキュレィ」と言う村名は、ローマ神話の商業の神「メルクリウス」に由来。
Bouzeron(ブーズロン)
アリゴテ種から造られる白ワインの唯一の村名アペラシオンの産地として名高い。
かつての「Bourgogne Aligote Bouzeron」が、1998年、村名ACに昇格して、 「Bouzeron」を名乗ることが認められた。
ワインは、緑がかった淡い黄色で、口当たりのいい、つつましやかなヴァニラ香を持つ。 いい造り手のものは、シャルドネとは一味違うその持ち味は、話のわかる年配者に出会ったような心地よさがある。

◆ 食前酒「キール」として名前を残したディジョン市長 日本では、食前酒の「キール」はディジョンの市長だった「フェリックス・キールが考案」したと記載された書物も多いのですが、それは間違い。
この飲み物を広めた彼の名前が食前酒に使われたというだけです。
コート・ドール県の県議会議員でもあり、国民議会の最長老議員でもあったキール氏。
姉妹都市関係を結ぶのが好きで、ディジョンの姉妹都市は20くらいあります。 つまりキール氏は、県内はもとより、パリジャンにも、外国人にも、カシスと白ワインの食前酒を広める機会が多かったわけでした。
◆ 食前酒キールの誕生 キール市長にちなんで「キール」という名前が付けられる以前は、白ワインとカシスという感じで「blanc cassis(ブラン・カシス)」、あるいは縮めて「blanc-cass(ブラン・カス)」と呼ばれてました。
白ワインにアリゴテを使わないカクテルは、地元の人は「ブラン・カシス」と呼んで、キールとは区別します。
白ワインに「クレーム・ド・カシス」を入れたカクテルを誰が考え出したのかには色々な説がありますが、有力とされている説は、ディジョンのカフェでお給仕をしていた人が1904年に始めたという話も…。
今回はご用意した「アリゴテ」にそれぞれ「クレームカシス」を加えオリジナル「キール」
を作って楽しんでいただきました。

Maconnais (マコネ地区)
マコンは行政と商業の町である。古くからワイン商にとっては、重要な取引の中心地。
昔はこの町で販売されたり、ここから輸出されたワインは膨大なもので、 「マコンのワイン」と言われていた。
マコンの街には葡萄畑は無く、マコンを名乗るワインは、全てマコネ地区の各村々のもの。
白が7割弱、赤とロゼが3割強で、フランス国内で消費される大衆向きのワインの量産地と言われてきたが、近年品質面で生まれ変わりつつある。
主な栽培品種は、白はシャルドネ。赤は殆どがガメイ種だが、若干ピノ・ノワールも栽培されている。
赤白とも、軽やかで、飲み口のよいもの。
Maconマコン
<白>はシャルドネが主で、アリゴテが数%ある。
フレシュな軽快な辛口で、大量に造られる日常用の若飲みタイプ。
<赤>はボーショレと同じガメイ種が主だが、ピノ・ノワールを使うものもある。
ボージョレー・タイプのものと、ボショレーに較べるとやや荒いが、タンニンの強いコクがあるタイプの2つがある。
<ロゼ>は果実香豊かで軽快、若飲みタイプ。
Macon-Villages (マコン・ヴィラージュ )
この銘柄は、単なるマコンより1ランク上の銘柄で、生産量はこちらの方が多くて、全体のほぼ3分の2を占める。
ブルゴーニュの食事
ブルゴーニュの名物料理は数多くあります。
「グジェール」というハムとチーズ風味のシュー、ハムとパセリをコンソメゼリーで寄せた「ジャンボンペルシエ」、お湯の代わりに赤ワインでポーチドエッグを作る「ウフ アン ムーレット」、ブルゴーニュバターを使った「エスカルゴ」、パセリソースで楽しむ「グルヌイユ料理」などが有名です。

またメインには、かつて雄の老鶏を「ジュヴレ・シャンベルタン」でマリネし煮込んだ「コックオーヴァン」や牛肉を赤ワインで煮込んだ「ブッフブルギニヨン」、鶏肉のクリーム煮、などワインと一緒に食べたい郷土料理がたくさんあります。

複雑な味わいの赤ワインには力強さのあるお肉の煮込み料理、コクのある白ワインにはクリームやバターの風味があるお料理を合わせてマリアージュを楽しんでみてください。