
万童 林
2022.6月開催 美味しいワイン会 『オーストリアワインと郷土料理』

6月22日提供ワイン

クロスターゼクト’ シュティフト・クロスターノイブルグ
このクラシックなスパークリングは、リンゴやライムのすっきりとしてフレッシュで果実味あるアロマが特徴です。
クロスターゼクトは9ヶ月間以上酵母とともに寝かせるため、口に含むと調和の取れた風味が感じられます。
泡もきめ細かく、食前酒として楽しむこともできますし、前菜やデザートなどとも合わせていただけます。
リーズナブルな価格で楽しめるスパークリングです。
良く合う料理:
食前酒として、または甲殻類や魚介類、刺身、スープ、前菜などと相性が良いです。
品種:ヴェルシュリースリング 60%、
グリューナー・ヴェルトリーナー40%
産地:オーストリア ウィーン
推奨提供温度: 7° - 9° C
ワイナリーの歴史
オーストリアで最も長い歴史と最大の規模を誇るのワイナリー
クロスターノイブルク修道院が完成した1114年、当時のオーストリア公爵レオポルト3世が修道院にワイナリーを建設しました。
1136年に大聖堂が完成したときは、このワイナリーでつくったワインが式典参列者に振る舞われました。
クロスターノイブルク修道院の長い歴史を通じて、ブドウ栽培とワインづくりは重要な役目を果たしてきました。
800年近い歴史を誇るシュティフト・クロスターノイブルクは、現存するオーストリア最古のワイナリーです。
規模も国内最大です。3つの地域で合計100ヘクタールを超えるブドウ園を営んでいます。ワイナリーのすぐ近くにある「グロスラーゲ」のクロスターノイブルク・ブドウ園、ウィーンのカーレンベルク地区ブドウ園、そしてテルメン地方グンポルトキルヒェン村とタッテンドルフ村に近い広大なブドウ園です。
修道院のブドウ畑では環境に配慮したブドウ園管理が徹底されています。
たとえば、エコロジー重視の土壌管理、有機肥料の使用、益虫の活用などです。
妥協を許さない品質管理と技術改良に加えて修道院では伝統的に、オーストリアのワイン文化発展に向けてたゆまない努力が続けられてきました。
そのことを示す好例が世界最初のブドウ栽培学校の設立です。
1860年にアウグスティニアン・カノンスにより創立された学校は、その後クロスターノイブルク・ブドウ・果樹栽培高等学校となり、今でも世界有数のワイン研究・教育機関としての座を維持しています。第一級のテロワールが生み出すワイン
場所によって土壌と微気候条件が多様なため、シュティフト・クロスターノイブルク・ワイナリーでは複数品種のブドウが、それぞれ理想的なテロワールで栽培されています。
クロスターノイブルクの傾斜地は砂岩と黄土主体で、グリューナー・フェルトリーナ、リースリング、ソーヴィニオン・ブランクが茂っています。
ウィーンのカーレンベルク地区ブドウ園の土壌は粘度とローム層からなり、ピノ・ブランク(ドイツ語名ヴァイスブルグンダー)、シャルドネ、ゲヴルトラミナー、ピノ・ノワールの栽培に適しています。ウィーン南方のグンポルトキルヒェンは石灰質の多い褐色ポドゾル土壌で、ツィアーファンドラーや、ロートギプフラーなどこの土地固有の品種のブドウ栽培に理想的です。
他方、シュティフト・クロスターノイブルクの名物である赤ワインは、サンローラン、ツヴァイゲルト、ブラウフレンキッシュ、カベルネ・ソーヴィニオン、カベルネ・フラン、メルローなど、タッテンドルフ近郊の暖かい砂地で産するブドウからつくられています。
サンローラン:シュティフト・クロスターノイブルク・ワイナリーの赤ワインの中でも別格の存在がこれです。サンローランは1890年にクロスターノイブルクで初めて栽培され、その後オーストリア全土へと普及しました。ウィーン南方のタッテンドルフでは40ヘクタールのブドウ園でこの品種が栽培されています。リートシュティフブライテは、オーストリアのみならず、世界的にも最大のサンローラン品種のブドウ園です。
シュティフト・クロスターノイブルクの文化的価値と社会的責任
シュティフト・クロスターノイブルクは、オーストリアにとり、とりわけ重要な文化的財産のひとつであり、公共施設としても重要な役割を果たしています。修道院が管理する芸術作品目当てに訪れる観光客のため、毎日ガイド付きの院内ツアーを実施しているほか(「神聖な小径」、「帝国の道」)、特別ツアーや、大勢の参加者を集めてのサマースクールなども開いています。
文化活動の一環として、コンサートや展示会が催されるほか、修道院の庭の見学ツアーが行われ、オペラ(時には子供向け)も上演されます。
シュティフト・クロスターノイブルクは社会的責任を果たす努力にも熱心です。
利益の10%を慈善事業に寄付しています。たとえば、ルーマニアとモルドバのストリート・チルドレン救済など、ゲオルク・スポーシル司祭が始めた各種プロジェクトを資金と人的側面から支援しています。
ローター・ヴェルトリーナー・クラシック’20 レート, 750 ml
黄色いリンゴとマルメロのほのかなアロマに、甘味としっかりした酸味がハーモニーを織り成し、焼きリンゴ、ドライフルーツ、レーズンなどの熟した構成を感じさせます。
フルボディで、温かく、口の中にしっかりと余韻を残します。
レート氏は25年にわたって、持続可能なブドウ栽培を目指し、化学物質を一切使用せず、自家製酵母を育ててきました。
ワイン愛好家の皆さんは、ローター・ヴェルトリーナーが秘める可能性を今一度再確認すると共に、このフレッシュでエキゾチックなワインを大いにお楽しみいただけることでしょう。
良く合う料理:
前菜、スープ、テリーヌ、鍋料理、豚肉料理、鶏肉料理、焼鳥など
品種:ローター・ヴェルトリーナー
産地:オーストリア ヴァーグラム
推奨提供温度: 10° - 12° C
グリューナー・ヴェルトリーナー・・フルト’19 マラート, 750 ml
緑色がかった淡い色合い。香りはリンゴや洋梨の豊かな果実風味にレモンの花、ほのかなスパイス香など。
きりっとした酸味とみずみずしさのある味わいでさわやかな印象。
いろいろなお料理と合わせて楽しんでいただけます。
良く合う料理:
濃厚なソースの魚料理、パテ、アジア料理、野菜料理、スープ。
品種:グリューナー・ヴェルトリーナー
産地:オーストリア クレムスタール
推奨提供温度: 9° - 11° C
ブラウアー・ツヴァイゲルト “13”’20 ヴィンツァー・クレムス, 750 ml
素直な果実味のツヴァイゲルトで、タンニンもやわらかです。
微かな赤系果実の魅惑的な香りに白コショウの風味が加わり、しっかりした酸味を感じます。様々な機会に気軽に楽しんでいただけるワインです。
良く合う料理:
スナック類各種、フィンガーフード、チキンのドラムスティック、ポテト料理、ハンバーガー、サンドイッチ、豚肉、しゃぶしゃぶ、ソフトチーズ
品種:ツヴァイゲルト
産地:オーストリア クレムスタール地区
推奨提供温度: 16° - 18° C
6月9日提供ワイン

グリューナー・ヴェルトリーナー “13”’20 ヴィンツァー・クレムス,
リンゴやマルメロなど香り高いフルーツの香りに驚くほど深みのある味わいを持つ、入門的なグリューナー・ヴェルトリーナーです。果実風味がシナモンやタバコなどの微かなスパイスに縁どられています。気軽に楽しんでいただけるワインです。
品種:グリューナー・ヴェルトリーナー
産地:オーストリア クレムスタール地区
推奨提供温度::10° - 12° C
リースリング・フルト’19 マラート,
フレッシュで力強い典型的なリースリングで、ドナウ川流域クレムスタールのテロワールの好例です。西洋ナシやリンゴのみずみずしい果実味と花の香りが広がり、ミネラル感も上質です。巧妙で安定感があり、スパイシーなアジア料理に良く合います。
品種:リースリング
産地:オーストリア クレムスタール
推奨提供温度: 10 - 12° C
ツヴァイゲルト・ロゼ’19 ニグル,
この明るい色合いのロゼには、ツヴァイゲルトに典型的なチェリーとストロベリーのような風味があり、すっきりとした果実味豊かな味わいにエレガントな芳香が広がります。飲むほどに楽しくなる - これこそ、ニグルが手塩にかけたワインの特徴です。
品種:ツヴァイゲルト
産地:オーストリア クレムスタール
推奨提供温度: 10° - 12° C
マルティン・ニグルが管理している畑で育てられているブドウの品種はグリューナー・フェルトリーナとリースリングが中心です。ブドウの味が濃厚なのは、土壌が風化した花崗岩を主成分としているためです。さらに、クレムス渓谷の微気候と、夏の焼けつく暑さ、冬の凍てつく寒さも、ブドウの、ひいてはワインの出来に大いに関係しています。夏は、昼間の温度が上がった日の夜に、ヴァルトフィアテルから冷気が流れ込み、気温が下がることがよくあります。その結果、暖かい陽射しの下で膨らんだブドウの皮が、冷たい夜のフレーバーをたっぷり吸収するのです。そして秋。完熟した房だけを摘む関係で、収穫作業は数回にわたって行われます。要する期間は1カ月から1カ月半。もちろん、すべて手摘みです。
ブラウフレンキッシュ・トラディツィオン’17 ヴァインホフ・イラ&オスカー・ゼメッシュ,
真っ赤に熟したチェリーに森の木の実が溶け込んだような香りを持つ、ほのかなあぶり肉の風味のワインです。控えめなタンニンと豊かな酸味を持つ女性的な味はすっきりと爽やかで、飲み飽きることはありません。また、かすかなスパイスの風味が後味に残ります。幅広い種類のさまざまな料理にとてもよく合います。ブラウフレンキッシュは、10世紀の末にオーストリアに持ち込まれ、現在は、オーストリアで2番目に多く栽培されている赤ワイン用の品種です。このぶどうは、ブルゲンラント地方中部の厚い粘土質の土壌でさかんに栽培されています。ツヴァイゲルトと同様に、高品質のブラウフレンキッシュを生み出す鍵は、収量を制限することです。 イラ・ゼメッシュ氏のブドウ園はホリチョン村にあり、ここは、粘土質の土壌と夏の高い気温によりブドウが完全に熟すため、オーストリアの「ポムロール」と呼ばれています。
ブラウフレンキッシュについて:
ブラウフレンキッシュの美点はホリチョン村で最大限に発揮されます。ブラウフレンキッシュ種からは、軽やかで果実味豊かなワインか、またはボリュームのある豊かなワインのどちらのタイプも造られます。2010年にオーストリア全体のブドウ栽培面積のうち、ブラウフレンキッシュの占める割合は6.4%でした。そのうち94%がブルゲンラント、特に中央ブルゲンラントで栽培されています。従って、ブルゲンラントはオーストリアで最上の赤ワインを産するブラウフレンキッシュラントとしても知られています。
ホリチョン村の土壌のユニークな性質は、赤ワイン、特にブラウフレンキッシュのワインを生産するのに理想的です。この土地の土壌からはフルボディで非常に個性あるワインが生まれます。ブラインドテイスティングをしてみるとそのテロワールはすぐに認識できます。この種の独自性を誇れる生産地はそう多いわけではないので、これは大きな強みです。ホリチョン村のワインの特別な個性は、重いレスと粘土にところどころ石灰質が入り混じった土壌に起因しています。場所によっては、その地域特有の「テゲル」という粘土と石灰質の混合土壌を含んでいるところもあり、また別の地域では砂利を含んでいます。このような多様性がワインに複雑味を与えているのです。
ホリチョン村とその周辺の気候は温暖です。北と南と西に丘陵があり、パノニア平原に向かって開けているので、ブラウフレンキッシュ種のワインには理想的な条件を備えています。最低でも年間300日は日照に恵まれ、降雨量は年間600mmであるため、優れた品質のブドウが収穫でき、結果としてワインの品質も保証されるのです。
イラ・ゼメッシュの究極的なゴールは、独自性と他にない個性を持った、真に本物のワイン造ることです。「インペリアル」と「トラディツィオン」というワインの名前は造り手の哲学を反映したものです。
品種:ブラウフレンキッシュ
産地:オーストリア ミッテルブルゲンラント
推奨提供温度: 16 - 18 °C