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執筆者の写真万童 林

果実味たっぷりラングドックワインと郷土料理【カスレ】を楽しむ

ラングドックワインと郷土料理のペアリングを楽しもう

ラングドック地方はフランス南部に位置していて、豊かな歴史と多様なワインで有名です。この地方には独特な郷土料理があり、それらを地元のワインと組み合わせることで、より深い味わいを楽しむことができます。

今回は、ラングドック地方の代表的なワインと郷土料理のペアリングについて紹介します。


ラングドック地方の観光名所

ラングドック地方は、美しい風景と歴史的な建物で観光客を魅了しています。ここでは、ラングドックを代表する3つの観光名所を紹介します。

カルカソンヌ(Carcassonne)

カルカソンヌは、ラングドック地方の象徴ともいえる中世の城塞都市です。城壁に囲まれた町は、まるでおとぎ話の中に迷い込んだかのような景観を持ち、ユネスコ世界遺産にも登録されています。


カルカソンヌの壮大な城壁と塔は、歴史的な戦いや文化の変遷を感じさせ、訪れる人々に強い印象を与えます。

町の中には小さなカフェやレストランが点在し、郷土料理とワインを楽しむことができます。

ナルボンヌ(Narbonne)

ナルボンヌは、古代ローマ時代に建てられた歴史ある町で、ラングドック地方の中心に位置しています。ナルボンヌ大聖堂は、その壮大なゴシック建築が見どころの一つで、多くの観光客を惹きつけています。

ナルボンヌには運河が流れており、その美しい景色を眺めながら散策するのもおすすめです。町の市場では、新鮮な地元食材やラングドックのワインを購入することができ、地元の雰囲気を味わえます。

ポン・デュ・ディアブル(Pont du Diable)

ポン・デュ・ディアブル(悪魔の橋)は、ラングドック地方のエロー川にかかる歴史的な石橋です。この橋は11世紀に建てられ、その名の由来にはさまざまな伝説があります。その中の一つには、橋の建設が非常に困難だったため、建設者たちが悪魔と契約を交わして完成させたという話があります。

しかし、最後には建設者たちが悪魔を巧みにだまし、橋を無事に完成させたと言われています。橋からは美しい渓谷の風景が広がり、特に夏の季節には川で水遊びを楽しむ地元の人々や観光客で賑わいます。

周辺にはブドウ畑が広がり、ワインテイスティングを楽しむこともできます。

この地域の自然の美しさと歴史的建造物が調和したポン・デュ・ディアブルは、訪れる価値のあるスポットです。


ラングドック地方のワインの歴史

ラングドック地方は、フランスで最も古くからワイン造りが行われている地域の一つです。その歴史はローマ帝国時代にさかのぼり、紀元前6世紀ごろからワイン生産が始まったと言われています。


古代ローマ人がこの地域にブドウの栽培技術を持ち込み、ワイン文化が根付いたのです。

中世には修道院がワイン造りを発展させ、その品質も向上しました。


19世紀には鉄道の発展によりラングドックのワインは広く輸出されるようになり、フランス国内外で知られるようになりました。

しかし、フィロキセラ(ブドウの害虫)の被害により一時は生産が大きく落ち込みましたが、その後の復興とともに高品質なワイン生産地として再び名を挙げるようになりました。


ラングドック地方は、その豊かな歴史の中で大量生産から高品質なワイン造りへと変遷し、現在では多様なスタイルのワインが楽しめる地域となっています。近年では、若手の生産者たちが革新的な技術を取り入れ、地元の伝統と新しいスタイルを融合させたワインを生産しており、ますます注目を集めています。


ラングドック地方のワインの特徴

ラングドック地方は地中海性気候の影響を受けており、太陽の光をたくさん浴びたブドウから作られるワインが特徴です。特に赤ワインは、果実味が豊かでスパイシーな香りがあり、リッチでありながら飲みやすい味わいが魅力です。これらのワインは、比較的アルコール度数が高く、熟したフルーツの風味が際立っています。


白ワインはフレッシュで爽やかな酸味があり、ミネラル感も感じられるため、魚介料理やチーズとの相性が抜群です。


代表的なワインとして、フルボディの赤ワイン「コルビエール」や、繊細な風味を持つ白ワイン「ピクプール・ド・ピネ」があります。

コルビエールは濃厚な果実味とスパイス感があり、特に肉料理や煮込み料理と相性が良いです。

一方で、ピクプール・ド・ピネはその清涼感のある酸味で、暑い夏の日に飲むのにも最適なワインです。


ラングドックの代表的なAOCワイン

ラングドック地方には数多くのAOC(原産地呼称統制)ワインがあります。その中でも特に代表的なものをいくつか紹介します。

コルビエール(Corbières)

コルビエールは、ラングドックで最も広いAOCの一つで、赤ワインを中心に生産されています。コルビエールの赤ワインは、グルナッシュ、シラー、ムールヴェードルなどのブドウ品種を使って作られ、果実味が豊かでスパイシーな風味が特徴です。

特にブラックベリーやブラックチェリーの香りが感じられ、しっかりとしたタンニンがありながら、飲みやすいバランスの取れた味わいが楽しめます。コルビエールは肉料理やカスレのような煮込み料理と相性が良く、ラングドックの豊かな料理文化を引き立てます。

ミネルヴォワ(Minervois)

ミネルヴォワは、ラングドック地方の北西部に位置するAOCで、赤ワインが主に生産されています。ミネルヴォワのワインは、フルーティーでありながらスパイスやハーブのニュアンスが感じられ、複雑な風味が特徴です。この地域のワインは、比較的柔らかいタンニンと豊かな果実味があり、焼き肉やグリルした野菜などとよく合います。

ミネルヴォワには一部で高品質な白ワインやロゼも生産されており、それぞれが異なる料理とペアリングを楽しむことができます。

フォジェール(Faugères)

フォジェールは、ラングドック地方の中でも特に高品質なワインを生産するAOCとして知られています。この地域の土壌はシスト(片岩)で構成されており、これがワインに独特のミネラル感を与えています。フォジェールの赤ワインは、ブラックベリーやプラムのような果実味とともに、ハーブやスパイスの複雑な香りが特徴です。

タンニンがしっかりしており、長期熟成に向いているワインも多くあります。フォジェールのワインは、ジビエ料理や濃厚なチーズとの相性が抜群で、しっかりとした料理と合わせることでその魅力が最大限に引き出されます。


郷土料理とのペアリングを楽しむ!

カスレとコルビエールのペアリング

ラングドック地方の代表的な郷土料理といえば「カスレ」が有名です。カスレは白インゲン豆、ソーセージ、鴨肉などを煮込んだボリュームたっぷりの料理です。この濃厚な料理には、ラングドックのフルボディ赤ワイン「コルビエール」がぴったりです。コルビエールの果実味とスパイシーさが、カスレの豊かな風味を引き立て、絶妙なバランスのペアリングを楽しむことができます。

カスレはそのボリューム感から特に冬の寒い日に食べたくなる料理です。暖かいカスレの一皿に、コルビエールの濃厚な風味が加わることで、体も心も温まるような体験を味わえます。コルビエールはタンニンが程よく効いているため、カスレに含まれる肉の脂っぽさをうまく中和してくれます。これにより、料理の重たさを感じることなく、最後まで美味しく食べられます。

自宅で作れるカスレのレシピ

カスレは自宅でも簡単に作ることができます。以下にスーパーで手に入る材料を使ったレシピを紹介します。


材料(4人分)
  • 白インゲン豆(乾燥):300g 時短の場合は市販の缶詰やパックのインゲンでもOK

  • ソーセージ(好みのもの、できれば粗びき):4本

  • 鴨肉または鶏もも肉:2枚

  • ベーコン:100g

  • 玉ねぎ:1個(みじん切り)

  • にんにく:2片(みじん切り)

  • トマト缶(カットタイプ):1缶

  • オリーブオイル:大さじ2

  • タイム、ローズマリー:各1枝

  • ローリエ:1枚

  • 塩、こしょう:適量

  • パン粉:適量


作り方
  1. 白インゲン豆を一晩水に浸けて戻し、翌日水を切ります。

  2. 大きめの鍋にオリーブオイルを熱し、鴨肉(または鶏もも肉)を皮目から焼き色がつくまで焼き、取り出します。

  3. 同じ鍋でソーセージとベーコンも焼き、取り出します。

  4. 鍋に玉ねぎとにんにくを入れて炒め、透明になるまで炒めたら、トマト缶を加えます。

  5. 白インゲン豆、焼いた肉類、ハーブ(タイム、ローズマリー、ローリエ)を鍋に加え、全体を軽く混ぜます。

  6. 具材がかぶるくらいの水を加え、塩とこしょうで味を調えます。弱火で1時間ほど煮込みます。

  7. 煮込んだ具材を耐熱皿に移し、パン粉を振りかけて200℃に予熱したオーブンで20分ほど焼きます。表面にこんがりとした焼き色がつけば完成です。


このカスレを作れば、自宅でもラングドック地方の郷土料理とワインのペアリングを楽しむことができます。濃厚な味わいのカスレには、ぜひコルビエールを合わせてみてください。


魚介料理とピクプール・ド・ピネのペアリング

ラングドック地方は海にも面しているので、魚介料理も豊富です。例えば、地元でとれる新鮮な牡蠣やムール貝には「ピクプール・ド・ピネ」がよく合います。この白ワインはフレッシュな酸味とミネラル感があり、魚介の自然な塩味を引き立てます。シンプルな調理法で楽しむ魚介とピクプール・ド・ピネは、まさに地中海の風を感じさせるペアリングです。

                               *参考画像

ピクプール・ド・ピネは、その名前が「口を刺す」という意味を持つほど、酸味が特徴的です。この酸味が、魚介の持つ海の風味と見事に調和し、口の中に爽やかな余韻を残します。また、ピクプール・ド・ピネはさまざまな魚介料理だけでなく、軽めのサラダや前菜とも相性が良いです。地元のレストランでは、魚介類のグリルやオリーブオイルを使ったシンプルな料理と合わせて提供されることが多く、そのシンプルさがワインの風味をより一層引き立てます。


ラングドック地方のワインを楽しむコツ

ラングドック地方のワインと料理を楽しむときは、現地の食材とシンプルな調理法を試してみるのがおすすめです。地元で採れた新鮮なハーブやオリーブオイルを使った料理は、ワインの風味を引き立てます。例えば、ローズマリーやタイムといった香り豊かなハーブは、ラングドックのワインと相性が抜群です。ペアリングを通して地元の文化や歴史にも触れることで、より深い体験が得られるでしょう。


また、ラングドック地方のワインは非常にコストパフォーマンスが良いことでも知られています。高品質でありながら手頃な価格のワインが多いため、自宅でのディナーでも気軽に楽しむことができます。例えば、特別なイベントの日にはカスレとコルビエールを、軽めの食事の日には魚介とピクプール・ド・ピネを用意して、さまざまなシーンでラングドックのワインを取り入れてみてはいかがでしょうか。


まとめ

フランス南部のラングドック地方は、多様なワインと豊かな郷土料理のペアリングで、訪れる人々に忘れられない味わいを提供します。カスレとコルビエール、魚介とピクプール・ド・ピネなど、シンプルでありながら深いペアリングをぜひ楽しんでみてください。自宅でも簡単にラングドックの雰囲気を楽しむことができるでしょう。


ラングドック地方のワインと郷土料理は、その土地の温暖で乾燥した地中海性気候、地元の人々の伝統的な生活様式、そして古代ローマ時代からの長い歴史が詰まった特別な組み合わせです。この地方の魅力を知ることで、ワインと料理のペアリングがもたらす楽しさをより深く感じることができるでしょう。普段の食卓にラングドックの風を取り入れて、新たな味覚の発見を楽しんでください。友人や家族と一緒にラングドック地方のワインを楽しむことで、共有する喜びも増えることでしょう。

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